こんにちは、金継ぎってなんかカッコイイ…いつか出来るようになりたい…と金継ぎに対し長年憧れを抱きつつ、
でも、金継ぎってメチャメチャ敷居高そうなイメージある!!!
と思って、具体的な金継ぎの知識をこれまでまったく仕入れないまま生きてきた方のにょろんです。
金継ぎは時間がかかる、くらいのことはなんとなくぼんやりと知っていたので、乾かしとくのになんか広大なスペースが必要そう…とか、
たぶん他には使わないような用具がいろいろ必要そうなイメージ……
と思って、ワークショップとかに出かけて行って習うのならともかく、調べたところで独学でおうちでやるのはムリだと思っていたのですね。
そんなにょろんが、今年「はじめての金継ぎBOOK」なる金継ぎ初心者セットで蕎麦猪口の欠け直しに挑戦。
その欠け直しがやっと昨日出来上がったので、今回はそのレビューをお送りしたいと思います。
金継ぎは時間がかかるもの…とはいいつつ、買ったキットについていたのは、本物のうるしではなく、「新うるし」なるネオ素材!
しかも直したいのは、蕎麦猪口の口のほんの小さな欠け。
ということで、これまでの人生において一度も金継ぎなんてやったことないズブのドシロウトとはいえ、それでも1カ月あれば出来るんじゃないか……
なんてそんな甘い夢を見ていた時期がにょろんにもありました。
結果はというと、ちょうど2カ月かかりました……!!!
しかも……かかった時間以上にショックだったのが、その安全性……
蕎麦猪口を直したのは、蕎麦猪口として使い続けたかったからなんです。
キットについていた本には、完全に乾燥させれば、食品衛生法上、基準値以内って書いてあったんです。
でも、よくよく調べたら、
「新うるし」には微量の鉛が使われているから、食器など直接口に当たる恐れのあるものに使うのは控えた方がいいそうです…(byメーカーさん)
つまり……2カ月かけて直したけど、もう食器としてはつかえない………
……う…え……
Contents
「はじめての金継ぎBOOK」を買った理由
ということで、冒頭でも触れていますが、まずは動機から。
何故今回、金継ぎの初心者キットを買うことにしたかというと、欠けちゃったアンティークの蕎麦猪口を、捨てずに直したいと思ったから。

金継ぎの欠け直しに挑戦・直したい蕎麦猪口
これです。

金継ぎの欠け直しに挑戦・直したい蕎麦猪口
ね、ほんとにほんのちょっとの欠け。
でも、こんなちいさな欠けでも、もう危ないから蕎麦猪口としては使えない……
でも、これ、プチプラ(たしか500円…くらいだったかと)だけど、アンティークなんです。
にょろんの趣味は骨董!しかも、着物も食器も、実際に日常使いできるものが好き!
というわけで、家にある食器は、半分くらいがアンティーク。
買ったらすぐに捨てて次!なんて言える食器は、わが家にはない。
お値段は関係ありません。大切なのは思い入れ!
ということで、蕎麦猪口の欠けがほんのちょっとだったから、これなら自分で直せるのでは?
と思い、キットを探し始めたところ……いまは結構色々キットが出てるんです。
その中から、「はじめての金継ぎBOOK」を選んだのは、お値段が安かったから&本が付いていたから。
※余談ですが、お値段が安いのは、本物のうるしキットじゃなくて、入ってるのが新うるしだからなんだと思うんです。
いまこの記事を書くのにアマゾンさんの該当BOOKのページを確認したら、ちゃんと「新うるし」だって書いてありました。
しかし、初心者にいきなり「新うるし」と言われてもなんのことかわからず、読み飛ばしてしまっておりました。
それについてはおいおいまた触れるとして、
本が付いてる&キットで一式道具がそろってる=これなら初心者でも本を見ながら作れるはず…!
ということで、「はじめての金継ぎBOOK」をポチりました。
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価格:3,996円 |
初心者が「はじめての金継ぎBOOK」で欠け直しに挑戦してみました!
金継ぎで蕎麦猪口の欠け直し~第1回目の塗り

金継ぎの欠け直しに挑戦・キット
というわけで、「はじめての金継ぎBOOK」のパッケージです。

金継ぎの欠け直しに挑戦・キットキャッチコピー
初心者にたのもしいキャッチコピーです。
- 「新うるし」だから、かぶれず簡単!
- やり直しも自由自在!
- BOOK(32P)でわかりやすく解説!
これをみてやっと、うるしじゃない「新うるし」なるものを自分が買ったらしい。
ということに気づいて中の本を読んだら、
「新うるし」は、釣具屋さんで釣りざおの修復用に使われているうるしの代用品とのこと。
なるほど、それでお値段が安いんだな!
とは気づいたものの、
「新うるし」でも乾いたら基準値以内と書いてあったので、食器に使えるならノープロブレムと思ってました…

金継ぎの欠け直しに挑戦・キット
入っている実物はこんな感じ。
これと、箱の表紙にある本が入っています。

金継ぎの欠け直しに挑戦・豆皿と長楊枝
自分で用意したのは豆皿と筆代わりの長楊枝。

金継ぎの欠け直しに挑戦・金継ぎ
豆皿に金粉と新うるしをいれたところ。

金継ぎの欠け直しに挑戦・金継ぎ
混ぜ合わせたところ。

金継ぎの欠け直しに挑戦・塗っていく所
塗っていきます。

金継ぎの欠け直しに挑戦・塗った所
塗り終わりました。
いまにも垂れ落ちてきそうなのが気になる…!

金継ぎの欠け直しに挑戦・塗った所アップ
そして、アップにしてみるとわかる。
塗ったものの、まだ陶器の口は尖ったまま。

金継ぎの欠け直しに挑戦・塗った所
裏はこんな感じ。
裏からもまだ口がとがったままなのがわかりますね。

金継ぎの欠け直しに挑戦・垂れそう…
とか写真とっている間にも、いよいよ垂れおちてきそうになってきました。
このへんどうしたらいいのか、本に書いておいてほしい!
と思いつつ、キットについていた本は、ひとことでいうと、おしゃれビジュアルブック。
とりあえず、欠けにはこう使え、ひび割れにはこう使え、と一応の使い方は書いてあるものの、めちゃめちゃ説明がアッサリ!
32P中、キットの使い方に関するページは14ページで、写真と文字大きめ情報少な目。
残りはインタビューと金継ぎのある生活提案だったため、
- こうなっちゃった時はどうしたら?とかそういう初心者が陥りそうな罠に対する手引き、とか
- こうやったらうまくいくよ!とかいうようなコツはほぼ載っておらず…
本をよく見なおしたら全体で3つほどコツが載っていたので、一切なしというわけではない…しかし、たったこれだけの情報で美品を作れというのは初心者には限りなくインポッシブルかと…!
シロウトがいきなり美品を作るのなんて無理なのかもしれないとはおもいつつ、ダメにしていい陶器なら、そもそも最初から直そうなんておもわなかった!
この陶器は練習台じゃない!思い入れのある陶器なんだ…!
あとは己の才覚でうまく切り抜けるしかないのか…!!!

金継ぎの欠け直しに挑戦・垂れどめ
というわけで、このままではダメだ。しかし逆さもダメ…どうにか塗り口が床につかないよう横置きにしたい…と使えそうなものを見繕った結果、キットの入っていた箱にガムテで貼り付けて固定しました…
金継ぎで蕎麦猪口の欠け直し~第2回目の磨きと再塗装

金継ぎの欠け直しに挑戦・欠け直し中
本には「欠けの場合、2日から2週間自然乾燥する」と書いてあったので、めちゃめちゃ日にちに振れ幅有るな!と思いつつ、盛ったのはほんのちょっぴりだしということで、塗ってからちょうど1週間後に様子見に取り出してきました。
いい感じでは?
まだ陶器の口が尖ってるからこのままではダメだけど、ツヤツヤしてるのかさすが金継!って感じの上品な色で気分がアガる!

金継ぎの欠け直しに挑戦・欠け直し中
裏もこんな感じ。
裏はもうこのままでもいい気がする…けど、やさしく磨けって書いてあるしとりあえず磨いてみるか…
ということで、完全に乾いてる…ようにみえたので、次の工程、磨きに入ることにしたのですが、時期尚早でした。
あとでインターネットで調べて知ったことですが、新うるしは表面が固まるのは本漆より早いけど、中まで固まるのは漆より時間がかかるのだそうです。
なので、もしこの記事を読んで新うるしにトライしてみようという方がいたら、よーくよーく慎重に時間を置くことをお勧めします。
しかし、この時にはまだそんな事は知らなかったにょろんは、1週間も置いたし、触って完全に乾いてたし!ということで、磨いてしまった結果どうなったかというと…

金継ぎの欠け直しに挑戦・やすり
キットについていたやすりです。

金継ぎの欠け直しに挑戦・やすり
水をつけます。

金継ぎの欠け直しに挑戦・欠け直し中
ひと撫ででズルっと塗装取れちゃいました……
力は入れていません。本当にやさしくひと撫ででズルっととれちゃいました。

金継ぎの欠け直しに挑戦・欠け直し中
裏もこんな悲惨な感じに……
しおしおと打ちひしがれながら、再度塗りなおして、またガムテで箱に貼り付けてから、わがやのにゃんこたんの手の届かない場所へ……
金継ぎで蕎麦猪口の欠け直し~第3~5回目の磨きと再塗装

金継ぎの欠け直しに挑戦・キット一式
ふたたび蕎麦猪口を取り出してきたのは、それから1カ月後……1週間でアレだったので、1カ月なら絶対何が何でも乾いてるはず…!
とおもって取り出してきたのですが……乾いてました。こんどはズルッとはとれませんでした。しかし……
水をつけてやすりで磨いて表面をなめらかにするとのことなのですが、磨いてもなめらかにはならず……

金継ぎの欠け直しに挑戦・ぐにゃっと…
わかりますかね?
磨いたことで、表面がぐにゅって皺が寄ってるっていうか…乾いてないわけじゃないんです。
さすがに1カ月、中まで乾いてます。
でも、なめらかにしたいのに、磨くとしわが寄る…しかもやすりの色が移るのか磨くと妙にどす黒いし…皺と色をとろうと磨く…すると金塗り全部取れちゃって…
あっ、これはもうキットについてる本だけみてたら、完成する日はこない…!!!
と思ってこのへんでインターネットを駆使し新うるしやら金継ぎやらで検索を始めました。すると、
- 金継ぎを塗るときは、やっぱり塗ったら垂れてくるから横置きにしたり逆さ向きにしたりして、乾かす時には工夫するものらしい。
- 一番いいのは時間ごとにちょっとずつ下になる部分をかえてやるのがいいらしい。
- 新うるし、本には大丈夫って書いてあるけど、メーカーさんは「鉛が微量入ってるから食器には使わないでください」と言ってるらしい。
とそれが知りたかったんだよ!なことからそんなこと知りたくなかった…!なことまでいろんな知識を仕入れたものの、新うるしのやすりでの磨き方については、インターネットでもわからず…
わからないということはつまり、自分で試すしかない!!!!
ということで、ここからさらに、塗り→磨き→よれて磨いて→剥げて塗り直し→を日を置きながら繰り返すこと2、3回…

金継ぎの欠け直しに挑戦・裏から
モッタリ残念な表面……

金継ぎの欠け直しに挑戦・欠け直し中
残念な………
このへん、特に最初の方は、完全に心が折れてた(かつ、撮ったところでとれる写真はおなじ)ということで、写真はとっていません。
最終的ににょろんが出した答えは、他はともかくとりあえず今回の欠け直しに、磨きという工程は要らないんじゃないかな?というものでした。
挫折じゃありません!
いや、挫折はしてるけど、諦めてその答えを選んだわけではなく、この蕎麦猪口を直しながら、余った金継ぎで陶片と陶片をくっつけて呼び継ぎをしてみたりシーグラスに絵を描いてみたりする間に、少しずつにょろんなりに新うるしの使い方に慣れてきて、それで出した答えが
「やすりで磨いてなめらかにするという幻想は捨て、絵の具を盛ってなめらかにするんだ!」
だったのです。(あくまでにょろんの個人的な意見です)
金継ぎで蕎麦猪口の欠け直し~最終塗装~そして完成へ
というわけで、最後の工程は、磨かず塗って完成。

金継ぎの欠け直しに挑戦・完成!
出来あがったのがこちらになります。

金継ぎの欠け直しに挑戦・完成!
欠けた蕎麦猪口を金継ぎで直したらめちゃめちゃ気分があがるものが出来あがるんじゃないかと思ってたのですが、現実は可もなく不可もなく……
食器としては使えなくなってしまいましたが、この蕎麦猪口は小物入れとして使おうと思います!
にょろん個人の「はじめての金継BOOK」の評価
というわけで、まとめに入れるには長すぎたので章を分けると、結果としてにょろん個人の「はじめての金継BOOK」の評価はというと、辛口ですが、
なしよりのあり。
なしな点からいうと、
まず、食器の修復には使えない。これは金継ぎとして致命的なデメリットかと。
もし今回のパッケージに「キットに入ってる新うるしは食器にはおススメ出来ない合成塗料です」ってかいてあったら、にょろんはこの本を買ってなかったと思うのです。
次に、本がざっくり不親切すぎる。
例えば今回の欠け直しだけじゃなくて、種類の違う陶器と陶器をくっつける呼び継ぎとかも、にょろんは挑戦したいんです。
本にも呼び継ぎで作る箸置きの作り方が載ってるんです。
でも、それも本には「エポキシ剤で陶片をくっつけて乾いたら上から新うるしを塗ります」としか書いて無くて、具体的にどうしたらいいかわからない。

金継ぎの欠け直しに挑戦・呼び継ぎ中
さらっとひとことで塗りますなんていわれても、
「先生、だいたいこういう感じかな?って思ったんですが、パテと陶器の溝がうまく濡れません!そこはどうしたら?!」とか
「はい、せんせい!おそらく裏面は表が乾いてから塗るとして、横面はどうやっていつのタイミングで塗るんです?!」
とわからないことだらけで、インターネットを駆使しまくって、探しても見つからないことは己で実験!そんなトライアル&エラーを繰り返しています。
そこが面白い!って人にはいいかもしれません。
説明書の読めないにょろんも、どちらかと言えば、ちょっとそういうの燃えるタイプです。
ですがやっぱり初心者キットを買った人間がキットについている教本に期待するのは、金継ぎを使ったスタイリッシュなライフ提案より、この一冊あれば何とか自分ひとりでもおうちで金継ぎできる、わからない初心者でもなんとかなるノーハウブックかと……かと…!
というわけで、デメリットが大きいキットですが、評価をなしよりのなしにしなかったのは、このキットを使ううち、新うるしの魅力を知ったから…
新うるし、悪いところばかりじゃないんです。
たしかに、食器の修復には使えないんですけど、アクセサリー作るのにはこんなに重厚な存在感をもって乗る絵の具はない!
ってかんじで、蕎麦猪口に塗り直しするのに溶いた金粉の残りがもったいなくてそれを陶片に塗ったら、めちゃめちゃ可愛くて…!
こんなのとか

シーグラスにおススメの絵の具比較①金継ぎ比較
ね?陶片にも、シーグラスにも新うるしは絵の具として超キュート!!!
ってことで、キットには一式必要なものがそろってるし、本うるしじゃない新うるしだから、お値段も安いし、とりあえず金継ぎに興味のある人が最初に触ってみる金継ぎ、ここからさらに興味をもって次は本金継ぎだ!という最初の間口としてはいいのでは?
あるいは、にょろんのように、アクセサリー作りにいいのでは?と思ってる方にも、さいしょの間口としていいのでは?
にょろんはこのキットに一式揃っていたおかげで金継ぎでつくるアクセサリーの楽しさに目覚めたし、いろいろ足りない情報を自分で調べて知ったおかげで本うるしと新うるしの区別がつくようになったし、次は本うるしの金継ぎやってみたい!でも、やっぱり本うるしは材料やら保管場所が大変そうだから、キットの前にワークショップ参加してみよう!と思ってるので、そんなにょろんのように好奇心旺盛な初心者にこの本は、結論としてなしよりのありではなかったかと思います。
とりあえずにょろんは、しばらく新うるしと付き合っていきたいと思っているので、キットについていた新うるしや金粉が切れたら、別に買おうと思っています。
というわけで、これを読んで、へー新うるし、買い足そうと思ってるほどアクセ塗料としていいのかー。じゃあキット買ってみるかーっていうかたは、キットは高くないと言いつつ、本があまり役にたたないとくれば、ばら売りで材料を買った方がキットよりかなり安くて(1000円ちょっとで材料揃うかと…!)おススメですということで、最後にばら売りの商品へのリンクを貼っておきます…!
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まとめ
というわけで、今回は初心者が「はじめての金継ぎBOOK」で欠け直しに挑戦してみました!をお送りしました。
端的に要所をまとめると「はじめての金継ぎBOOK」の長所は、
- 一式揃っているので、金継ぎをやってみたいけど何を買ったらいいのかわからない初心者には安心!
- お値段もお手頃
- かぶれない&ムロがいらないがキャッチコピーなので、扱いが楽。
欠点は
- 新うるしと金継ぎの安全性が保障されていないため、食事用の食器の修復には使えない。
- 本が初心者にはざっくり不親切すぎる。
ということで、この記事が、これから金継ぎに興味があってこれから本を手に取ってみようと思っている方の何かしら参考になったら幸いです。
にょろんは失敗にもめげず何度も果敢にアタックするうち、だんだん呼び継ぎのコツを掴み始め、初めの頃にくらべ、だいぶ呼び継ぎがうまくなってきました。
初心者らしく基本を押さえながら初心者の好奇心でもっていろんな接着剤を試しているので、またそれも呼び継ぎアクセにおススメの接着剤として、後日記事にしたいと思っています。